「コリッとしているのはタケノコ、プルンとした食感はシイタケ、残るこの不思議な弾力がフカヒレなのか!」
幼い頃にはじめて食べたフカヒレスープは、父の知り合いからの贈り物でした。今思えば高級なものではなく、レトルトの手頃な品です。それでも、口のなかで宝探しをするような楽しさがあり、非常に感動したのを覚えています。
それからというものフカヒレは大好物。魚翅(yuchi=フカヒレ)という中国語だけをおぼえ、海を渡り、本場まで食べに出かけたことがあるほどです。しかし、高級店でいただく姿煮は確かに美味しいのですが、追い求めていた料理とは別物でした。
そうして、ついに見つけたのが「濃縮ふかひれ胸びれスープ 3個セット(約12人前)」。子供の頃に感じた贅沢な味わいを、数十年の歳月を経て、再び呼び起こしてくれたのです。
販売元の『石渡商店』は50年以上も続くフカヒレ専門店。お店のある宮城県気仙沼市は世界的に知られるフカヒレの一大産地であり、出荷量もさることながら、加工技術において屈指の高さと評価を集めています。
そんな気仙沼産ヨシキリザメの胸びれを使用している商品は、濃縮スープに水を加え、温めるだけで調理完了です。
姿煮のように主張はしませんが、しっかりと存在感を発揮するフカヒレ。タケノコやシイタケとの食感の対比こそ、私が追い求めていたフカヒレの真骨頂だったのでしょう。
さらに特筆したいのがスープの美味しさ。豚と鶏の動物系スープに、カニペースト&オイスターエキスをはじめとする魚介の旨味が加えられ、非常に濃厚です。生姜の程よい辛さはありますが、醤油をベースとした味わいのため、お子さまからご年配の方まで親しみやすいと思います。
繊細な食感と濃厚スープの旨味、ふたつの要素の相乗効果は、長年溜め込んできた私のフカヒレに対する欲求を存分に満たしてくれました。
後日、200gのレトルトパック1袋に卵2個と適量の水を加え、弱火でじっくり蒸し、茶碗蒸し風にアレンジ。思い切り泡立て器で卵をかき混ぜたせいか、通常の茶碗蒸しとは異なり、かなりフワフワとした仕上がりに。その失敗がむしろ功を奏し、繊細なフカヒレの食感を損なうことなく楽しめました。
その他にもラーメン、チャーハン、あんかけ、お粥など、スープだけでなく多彩な料理にアレンジできる「濃縮ふかひれ胸びれスープ」。しばらく日々の食卓がフカヒレによって贅沢に彩られそうです!