私は一時期、近所のスーパーで作っているお惣菜の中にあったイベリコ豚丼が好きでよく食べていました。薄切りの豚肉を甘辛く焼いてご飯にのせただけのものですが、肉汁がジュワ~と口の中に広がってとても美味しかったのです。出来合いのものはあまり買わない主義ですが、これだけは別。それが私がイベリコ豚を食べた最初の体験でした。
当時イベリコ豚のことはよく知りませんでした。“どんぐりだけを食べている普通の豚より美味しい豚”程度の知識しかなく、急に表舞台に出てきた豚肉という印象でした。それも当然といえば当然。日本で加工していないイベリコ豚を輸入できるようになったのは2004年ごろからで、ごく最近のことなのです。そんな私の、イベリコ豚の感動体験第2弾が今回ご紹介する「イベリコ豚ローストポーク」です。
イベリコ豚はスペインのアンダルシア州南西部にあるハブーコ村で育ちます。イベリコ豚には格付けがあり、大まかにどんぐりの実だけを食べるベジョータと、どんぐりの実の他に森に生える香草や牧草も食べるセボに分けられます。ベジョータはイベリコ豚全体の約10%だそうで、そのうち、血統100%の原種であり、樹齢200歳を超えたどんぐりの実だけを食べるイベリコ豚はレアル・ベジョータという格付け最高位となります。
レアル・ベジョータを与えられるイベリコ豚はたったの2%! 「イベリコ豚ローストポーク」はその最高級ランクの豚を使用しています。さらに3年に1度ドイツで行われる「IFFA国際ハムコンテスト2016」で金賞を受賞。世界が認める美味しさなのです。
まずは薄く切ったものをそのままいただいてみました。力を入れずともスッと包丁が入る柔らかさです。スパイスに7日間かけてじっくり漬け込んでいるだけあって、黒胡椒などのピリッとする香りが程よく食欲を刺激します。脂身が多いのに全くしつこさがありません。それどころが肉の旨味がしっかりと感じられました。低温でじっくりと半日かけて火を通す真空調理法が圧倒的な柔らかさを保ち、旨味を最大限に引き出しているのです。
それから、フライパンでちょっと炙ったものを食べてみました。口に入れると肉の旨味を閉じ込めた脂が溶け出して、とろけるような味わいが広がります。このとろける脂身はどんぐり由来のオレイン酸が豊富に含まれている証拠。アップルソースを作って、焼いたローストポークにかけてみました。甘酸っぱいりんごとの相性も抜群。感動で言葉になりません。
これがお取り寄せで食べられるとはなんと良い時代でしょうか。大切な人たちにすぐにでも食べさせたい! 心からそう思える逸品です。