日本の伝統食のひとつである、蕎麦。長野県の信州そばと島根県の出雲そば、岩手県のわんこそばが日本三大そばと評されていますが、原材料である蕎麦の生産量日本一は北海道になります。しかし、全国に流通する蕎麦に使われている蕎麦粉を調べてみると、国内産の流通量はわずか20%しかなく、残りの80%は輸入に頼っているのが現状です。
そんな国内産の蕎麦粉を贅沢に使用して作られているのが、今回紹介する『酒井製麺』の「特選山形蕎麦セット」になります。
山形県に本社がある『酒井製麺』は、もともと水車を利用した粉挽き業者でした。それが三代目の時代に製麺業を新たに開業し、現在は80年以上も続く製麺所として老舗の看板を守っています。
蕎麦粉は、もちろん地元山形産。そこに山形県の名峰蔵王山系の伏流水と、ミネラルを残した自然塩を使用して麺を作るのが『酒井製麺』のこだわりです。
昼夜の寒暖差が激しい山形県の内陸や山間部は蕎麦の生産に適しており、さまざまな蕎麦が栽培されています。その代表品種が香りが高く甘味があり、麺にすると強いコシが特徴の「最上早生(もがみわせ)」と、大粒で豊かな風味と上品な甘味が特徴の「でわかおり」です。これらの特徴を最大限に活かした3種類の蕎麦を楽しめるのが、今回のセレクションなのです。
パッケージされているのは「更科そば」「藪そば」「田舎そば」の3種類。皆さんはこれらの違いをきちんと説明できますか?
「更科そば」は蕎麦の実の一番内側、つまり中心部分を粉にした一番粉(通称、更科粉)を使って作られるそばの名称で、白い麺が特徴です。蕎麦の香りは弱いですが、ほのかな甘味が楽しめます。その対極に位置するのが「田舎そば」で、こちらは太く黒っぽい麺で、豊かな香りが特徴です。“藪そば”は蕎麦の実の外側にある甘皮を適度に挽き込んだ粉を使用するため、やや緑がかった麺で深い味わいを堪能できます。
「特選山形蕎麦セット」では、更科そばと藪そばに「でわかおり」を、田舎そばに「最上早生」が使われています。更科そばは、喉越し良さが際立つ一品で、口中に広がるのは、ほのかな甘味。藪そばからも甘味を感じることができ、含まれている山芋粉によるものでしょうか、モチっとした食感も楽しむことができました。そして田舎そばは最もコシが強く、蕎麦の香りをダイレクトに堪能できる逸品です。
代表的な3種類の蕎麦を堪能できる「特選山形蕎麦セット」は、蕎麦が大好きな方はもちろん、食にこだわる方や、贈り物にも最適。今回は蕎麦本来の香りを楽しむためにざる蕎麦にしていただきましたが、温かいつゆをかけて、天ぷらや山菜などをのせて食べてもいいですよね。お好みの食べ方で、それぞれの蕎麦を味わいましょう。