信州味噌、仙台味噌、御膳味噌など、地域ごとの特色があるお味噌。正直なところ違いがよく分からず、実家で使っていた白味噌を愛用し続けてきました。しかし先日、名古屋に遊びに行ったときに、八丁味噌を使った料理の数々に感動! 非常に美味しかったので、思い切って取り寄せてみることにしました。
注文した「有機味噌詰合せ」は赤だし2パックと八丁味噌のセット。真っ赤なパッケージに入っていて高級感がありますね。天然醸造、無添加、有機といった体に良さそうなキーワードもいっぱい並んでいました。
こちらを製造している『まるや八丁味噌』は、延元2年(1337年)の創業と気が遠くなるほど昔から味噌を作り続ける超老舗。愛知県岡崎市の八帖町(はっちょうちょう)に本社を構えています。なるほど、八丁味噌の名前は八帖町に由来しているのですね。
さっそく2種類の味噌をキュウリやちくわぶに付けて味見してみました。まずは赤だし。熟成感のある香りが広がり、深いコクも感じます。とはいえ出汁が入っている訳ではありません。八丁味噌に米味噌などをブレンドした調合味噌の総称だそうです。味噌汁などで馴染みはあったのですが、まったく知りませんでした。
驚いたのが八丁味噌。こちら昔ながらの製法で二夏二冬の間熟成させているというだけあり、香りとコクは強いのですが、塩辛さがなく“名古屋めし”らしいパンチは感じないのです。それもそのはず、調べると八丁味噌は料理のコクを深めるための万能調味料なのだそう。
原料は有機栽培の大豆と塩のみ。シンプルでクセがありません。そこで今回は生姜、砂糖、酒、出汁を加えて混ぜ合わせました。八丁味噌の深いコクが、各種調味料をまとめあげ「これこれ、これが名古屋の味!」と思わず声が出てしまいました。
メインディッシュは八丁味噌で煮込んだ手羽先。通常、白味噌などは煮立たせると香りが飛んでしまいますが、八丁味噌はどれだけ熱を加えても問題ないそうです。思い切って圧力鍋で骨まで柔らかくなるくらい煮込みました。一口食べて感じたのは、やはりコクの深さ。火にかける前と比べれば香りは控えめになりましたが、その分だけコクが際立ちます。和食だけじゃなく洋食系の煮込み料理にコクを加える隠し味にも使えそうです。
色の割には塩辛さが控えめ。食べ進めると、さらに濃厚なコクを求めるようになり、追加で八丁味噌を鍋に投入し再度煮込みました。あまりの美味しさに、もっともっと入れたくなる不思議な魅力。名古屋めしの味付けが濃厚な理由は八丁味噌にあるのかもしれませんね。