これまでの人生、さまざまな湯葉を食してきた私ですが、これほどコクの深いものと出会ったのは、はじめて。それが北海道留萌市の契約農場から取り寄せた特別品種の大豆を贅沢に使用している『豆香村』の「とろゆばセット」です。
クリーミーな豆乳を濃縮し、結晶化させたかのような芸術的な味わい。1パック220gに何十層にも折りたたみ込まれているのですが、1枚ずつ箸で簡単に持ち上げることができるほど破れにくく、プルンと弾力のある豊かな食感が楽しめます。
商品は「うま味だし豆腐のたれ」が付いた4パックのセット。同封のレシピには「とろ湯葉の卵かけごはん」や「とろ湯葉のあんかけ」など美味しそうな料理がズラリ。まずは最もシンプルな「とろ湯葉ワサビ醤油」からいただくことにしました。
魚介のエキスが凝縮された専用ダレにより旨味がプラスされ、お刺身を食べているかのような感覚。大豆そのもののフレッシュな香りも漂います。
「畑の肉」と呼ばれる大豆ですが、こちらの心地よい弾力、とろけるような旨味は「畑の大トロ」といった印象。なるほど「とろゆば」というネーミングに偽りはありません。
タンパク質が豊富でヘルシーな湯葉ですが、こってり濃厚なため満足感も十分。魚介のお刺身と同様にワサビの刺激がアクセントにぴったり。非常にすばらしい日本酒のつまみになりました。
軽く酔いがまわったところで頭をよぎったのは「畑の大トロに本物のマグロを混ぜたらどうなるのか？」という疑問。そこでスーパーでキハダマグロを購入し、細かく刻み、湯葉のパックに残っていた豆乳、専用ダレと刻みネギを加え、湯葉で巻き上げました。
酔っているため調理はかなり雑でしたが、湯葉はまったく破れません。繊細な技術が必要な湯葉巻きも「とろゆば」なら思いのほか簡単にできました。
さて出来上がったネギトロ湯葉巻きに、軽く専用ダレを付け、いただきます。「とろゆば」ならではの濃厚な味わいが広がった後、小籠包から溢れ出す肉汁のごとく顔を出す、マグロの味わい。グラデーションのある風味、メリハリのある食感は本マグロの大トロ以上と言っても過言ではありませんでした。
失敗した点は安物のマグロを使用したため、スジが少し残っていたこと。これが湯葉の上質な食感を少々邪魔していたのです。次に調理するときにはスジも残さず丁寧にマグロを刻み込むことにします。
簡単な調理をしただけなのに、すっかり気分は和食の料理人。「とろゆば」はまだ3パックも残っているので、今後も色々と新しいレシピを開発していきたいと思いました！
