職業柄、人様より多くのレストランを訪れているのだけれど、本当に美味しい料理に出会った時は、必ず食後に強い酒をキュッと飲みたくなる。イタリア料理ならグラッパ。そしてフランス料理であればもちろん、ブランデーだ。
余韻という言葉がブランデーほど相応しいお酒は無いのではないか。
かぐわしい香りに包まれるからこそ、先ほどまでの料理の余韻に浸り、楽しかった時間を噛みしめることができる。お供は甘いスイーツがいい。
ボンボンショコラ、チーズケーキ、上生菓子などの濃いめの上品な甘みに抜群に合う。
「ルミエールブランデー・イン・バカラ」は、ワイン醸造の老舗・ルミエールが30余年の月日をかけて熟成させた、いわゆるVSOPクラスの逸品である。ブランデーは簡単に言うと白ワインを蒸留したものだが、30年前といえば、まだ日本のワインは輸入したぶどう果汁でワインを作るのが主で、今のような高い品質を持ってはいなかった。
そんな時代からルミエールでは、自家栽培のぶどうを使い長い未来を見据えてブランデーを熟成させてきたのだ。しかも本来なら、創業130年を記念して2015年に発売されるはずだった。ところが、まだ最高の味に至っていないと発売を延期。この誠実でプロフェッショナルな姿勢は称賛に値するが、実際に決断するのは全く持ってたやすいことではない。
グラスに注ぐと、甘美な香りが部屋中に漂う。強いアタックを堪能しながらのひとくち目は格別だ。しかし大事なのは、ゆっくりと楽しむこと。時と共に香りと味が丸みを帯びて、また新たな顔を見せてくれる。素晴らしい熟成をしたからこその深みだ。
バカラのボトルを眺めながら、この変化を噛みしめていると、リラックスして、自分を取り戻せるような気分になるから不思議だ。
ひとりで、自分へのご褒美に。
仲間やパートナーと、食事後の最高の締めくくりに。
心まで豊かにする、大切な1本と言えるだろう。
ルミエール ワインショップ
BRANDY in Baccarat
¥110,770(税・送料込)
受注期間:11月16日(木)~12月31日(日)着日指定のないご注文は、順次発送します。日本を代表する老舗ワイナリー『ルミエールワイナリー』ではその高い技術力を生かし、ワイン造りと共にブランデーの製造も行っています。究極の味わいを追求するべ...
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達人
大木 淳夫
ぴあ「東京最高のレストラン」編集長
1965年東京生まれ。プロが実名で評価する唯一のレストランガイド「東京最高のレストラン」編集長を2001年の創刊より務めている。その他の編集作品に「いまどき真っ当な料理店」(田中康夫)、「一食入魂」(小山薫堂)、「日本一江戸前鮨がわかる本」(早川光)、「なんでお店が儲からないのかを僕が解決する」(堀江貴文)など。好きなジャンルは鮨とフレンチ。