国友正明さんが東京で脱サラして、岡山県の自然豊かな山あいでトマト作りを始めたのは20年以上前のこと。ゼロから始めたトマト作りは試行錯誤と努力の連続だったそうだ。
トマトの味を大きく左右する土作りは、冬の寒い時期から始まる。まず行うのが、畑の土を発酵させて圃場全体を堆肥化させる「土ごと発酵」で微生物の生息できる環境作り。
微生物の副産物(ミネラル)をたくさん作るには、微生物の生息できる土作りが必要だ。微生物の生息できる環境が整うと、土の団粒構造が形成され、植物の根の張れる環境が整ってくる。トマトの苗を植えたときにしっかりと根が張れる土であることが、美味しいトマトを育てるためには必要不可欠なことだと国友さんは考える。
トマト作りには、水も重要だ。ハウスの周辺には岡山県を流れる高梁川の源流水が流れ、その清澄な水をハウスに引き込むことができるのは、この地ならではの自然の恵み。摘み取ったトマトをかじると、その豊潤な甘さに驚く。
国友さんのトマト栽培の特徴は、できるだけストレスを与えることなく、のびのびと育てミネラルをしっかりと吸収させること。それによって旨みで満たされ、甘いだけのトマトではなく酸味とのバランスの良さ、その中でも口当たりの良さ、肉質の良さを意識した高品質なトマトが育つのだという。
トマトジュースに使うのは、収穫して間もないトマトのみ。樹上完熟させたトマトを国友さんが自らジュースに加工していく。ユニークなのは、すべてのボトルに収穫期・糖度・シリアルナンバーが記載されていること。トマトはあくまでも農作物であり、その年のトマトで作ったトマトジュースは、その年にしかできない味がすることを国友さんは伝えたいのだろう。
トマト栽培に人生を懸け、「美味しい」と喜んでもらうためだけにトマトを育てている国友さんのトマトジュースには、味わう人への愛情とメッセージがたっぷり込められている。