熟成肉ブームの立役者でもある『格之進』から、
現在、製造特許申請中の画期的な技術で生み出した
「薫格(くんかく)ハンバーグ」をついに販売開始!
代表の“肉おじさん”こと千葉祐士氏は、いち早く熟成肉の可能性に気づき、その魅力を広めるために奔走し続けてきました。
肉のイノベーターとして、熟成肉、塊肉、希少部位など数々の肉ブームを生み出してきた千葉氏が、何やらまたもや一波乱、一大肉ムーブメントを巻き起こそうと、いそいそと動きを見せているのです。
「お肉の美味しさをさらに倍増させる革新的な技術を開発したので、ぜひ皆様に味わって欲しい!」
その呼び掛けからすべては始まりました。
常に肉のイノベーションを目指している千葉氏。それこそ肉の第一人者と言っても過言ではない氏を以ってして、革新的な技術と言わしめたのが、本プロジェクト。どんな肉でも旨味を倍増させるこの技術は、業界では非常識の連続!まさに逆転の発想から、目からウロコの美味なる肉が生まれたと言います。
味、薫り、見た目、音、食感……。
そのどれもが“美味しさ”を構成する大切な要素ですが、
実はそのうち大きな比重を占めているのが「薫り」なのだと千葉氏は力説します。
そう、近年ブームとなった燻製料理は、味もさることながら燻煙の深い薫りが人々を惹きつけ
大人気になったといっても過言ではないでしょう。
「どうしたら最も効果的な形でお肉に薫りをまとわせることができるのか?」
そこでまず目をつけたのが、『格之進』人気No.1を誇るハンバーグでした。
牛肉は、岩手県産を中心とした国産牛肉。
豚肉は、岩手県花巻市が誇る幻のブランド豚「白金豚」。
通常は塊肉の端材を使用することも多いハンバーグですが、『格之進』ではハンバーグのためにしっかり肉を選定。繋ぎの原材料も地場産品にこだわっています。
そして、その隠し味とも言えるのが自社製造の塩麹。
原材料のすべてが岩手県産の塩麹を使い、肉の旨みを引き出すことでソースなしでも十分満足していただける味に仕上げています。
そんな大ヒット商品にさらなる付加価値を与えるため、千葉氏はある特殊な燻製機を使い冷燻ハンバーグ「薫格ハンバーグ」を生み出しました。
薫りは強いが苦味もあるピートは使用せず、スモークチップにはクルミ、ナラ、ブナを使用。いずれもマイルドですっきりとした薫りに仕上がることで、燻製独特の渋味を一切感じない、口当たりのいいまろやかな風味が楽しめます。「実は燻製は苦手だった」という『格之進』社員も、この冷燻ハンバーグ「薫格ハンバーグ」なら美味しく食べられるというほど、従来の燻製とはひと味違う商品が誕生したのです。
さて、その冷燻の技術、特殊な燻製機とは一体どのようなものなのでしょう?
肉をさらに美味しくしたいという一念で今回の技術開発に漕ぎ着けた千葉氏。構想を練り始めたのは、なんと9年前の2010年からでした。
最初は生の肉に燻製をかけることから挑戦はスタート。すると、どうしても赤身の色が黒ずんでしまい、見た目が悪くなってしまうという悩みに直面。そこから専門家の助言を参考にトライ&エラーを繰り返した格之進チームですが、思うような結果が得られず失敗の連続だったと言います。
「生肉はもちろん、レバー刺しなど、これはと思うお肉や部位で燻製にチャレンジしたのですが、なかなか理想の薫りは引き出せない。それが、まさか魚で使われていた技術が生きるとは……」
行き詰まっていたところ、岩手県で行われていた展示会で偶然とある燻製機に出会い、まったく別の角度からのアプローチを思いついたそうなのです。それこそが熱を加えず、薫りをまとわせる冷燻の技術!
「魚が抜群に美味しくなるという冷燻技術を知り、これはお肉でも試してみたいな、」
すぐに冷燻とそれに合わせた薫りの研究を始め、スモークチップの配合など分析データの作成に取り掛かりましたが、2011年に東日本大震災が勃発。岩手県一関市を拠点とする自身の店も一時は不安定な状況に陥り、計画は一旦とん挫してしまいます。
そして数年後、無事態勢を立て直し念願の燻製機を購入。
ようやく本腰を入れて実験を開始できるようになったのは、2013年からでした。
そして月日は流れ、2018年4月。
千葉氏は廃校となった岩手県の一関市門崎小学校をリノベーションし、『格之進』の本社を移転したと同時に、最新設備のハンバーグ工場を設立。冷燻も大量生産が可能に。
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上記は工場に生まれ変わった小学校の体育館屋根裏。
この広大な工場があることで、満を持して冷燻の機械をフル稼働できるようになりました。
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冷燻とは、高電圧電源と燻煙のイオン化現象を用いた技術で、従来の燻製製造に関する常識を一変させたという画期的なもの。
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スモークチップはまろやかな薫りを生み出す岩手県産ナラ、クルミ、ブナを使用。
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塊肉とハンバーグを装置に入れ、わずか10分ほどで冷燻は完成です。
一般的な冷燻とは、低温で数日から数週間かかるもの。しかし、こちらの専用装置を使えば電圧とイオンの力で10分という短時間で同等の効果を出せるという事実からしても、驚くほど高性能であることがお分かりいただけるでしょう。それを冷凍の肉に応用したのが今回の技術です。
低温での燻製のため食品の乾燥が防げ、空気に触れる時間が短く済むので衛生的であるという利点もあります。
「お肉とハンバーグを冷凍で燻製するという新しい発想は、技術的な開発として製造特許申請できる可能性がある」ということで、何度も実験を繰り返し、正確なデータを集めて特許庁へ提出。ただいま「製造特許出願中(特願2017-60674)」の状態というのも今後への期待が伺えます。
さらに千葉氏は、その味わいの変化についても「旨みが倍増する」と言及してくれました。
いわゆる高級牛肉でなくとも、培ってきた肉への多様な向き合い方と科学の力によって最高に美味しい肉に変身させることができるという魔法のような今回の発明。
「薫格ハンバーグ」が熟成肉、ハンバーグに次ぐ『格之進』の新たな看板メニューとして注目を浴びる日も近いかもしれません。
焼くだけお手軽なハンバーグですが、最高の状態で味わうために焼き方を極めたい方もぜひご覧ください。
2013年、統合を受けて廃校になったこの門崎小学校は、私の母校です。
このエリアは人口1000人にも満たない、信号もコンビニもない場所。
一見本当に何もないように見えますが、実はここから見渡す景色には多くのものがあるんです。
近くの川にはゲンジボタルが、池には絶滅危惧種に指定された希少なメダカがいて、その清廉な水で育てられた「門崎 めだか米」はうちのお店でも出しています。そういった周辺の景色の中にある岩手産の様々な物を取り入れています。
それはつまり『格之進』でご飯を食べるということは、地域で物作りをしている人たちにお金が循環するということなんです。
“お客様一人ひとりが投資家になる”というのが、地方活性において重要なテーマになってくるんです。
そしてお客様の声を聞くことで、生産者が美味しさの期待に沿うように意識する。
「頑張ろう!」という励みになるんですね。
消費を通じて日本の“食”を支えていく。そのちょっとした意識が、ひいては農業の未来への投資にも繋がってきます。
お肉に関しても同様です。
私たちは牛の命をいただき、それをエネルギーに替えて生きさせてもらっている。すなわち人間の物差しで牛の善し悪しを値踏みするのではなく、その恩恵を最大限に享受するべきなんです。
熟成肉も、今回の冷燻の発想もそこから生まれました。目新しいからでもなく、ブームだからでもない。
作りたいのはブームではなく文化。
常に食の未来を見据えて、食文化を高める可能性を探っていきたいと思っています。
お肉の旅はまだまだ始まったばかり。
この一関の地から世界へと、新しい未来のカタチを発信し続けていきたいです。