美味しい和菓子を売る店は、建物の新しさや古さに関わらずその佇まいに趣がある。そんな私の法則にピタリと当てはまる、名店の品を見つけました。名古屋市の瑞穂区汐路に本店を構える『花桔梗』の「冷やし蕨餅・花どらセット」です。
手土産には洋菓子よりも和菓子を選ぶことが多い私ですが、常温保存できて個包装、日持ちして、なおかつ見栄えも良い歴史ある名店の品…と欲張れば意外に選択肢は少なくなるもの。今回お取り寄せした「冷やし蕨餅・花どらセット」は私の気になるポイントをすべて満たしてくれる、パーフェクトな逸品です。
まずは紫の包装紙と、それに包まれた中箱に描かれた桔梗の姿に一目惚れ。まるで和服を着た美人のような凛とした雰囲気で、いただく前から次の親戚の集まりには絶対にこれを手土産にしようと心に決めました。
『花桔梗』は尾張徳川家の御用達であった老舗『桔梗屋』をルーツとし、2006年に趣向を変えて再オープン。名古屋市の本店舗は、品のあるモダンな佇まいで伝統のある新しい菓子屋のイメージにピッタリです。
まず試してみた『花桔梗』の人気商品のひとつ「花どら」は、片手でつまめる小さめのサイズ。どら焼きは好物ながらも、生地のボリューム感が近頃気になっていた私にはまさにベストな大きさです。餅粉が使われた生地はもっちりとした食感で、これも生地のパサついた食感が苦手な私には理想的。中の粒餡には十勝産の小豆が使用されており、すっきりとした甘みがもちもち食感とほど良いバランスです。ひと目みて気に入ったこちらの商品ですが、味わえばさらにセンスの良さが感じられ、ますます好きになりました。
貴重な本蕨粉を使用して作られた「冷やし蕨餅」はしっかりとした食感が魅力です。小分けで一カップずつ味わえる便利さもさることながら、上品な甘みは誰からも愛されそう。きな粉と共にたっぷりかける黒蜜は後味にわずかな苦みが感じられ、これぞ大人の味わいです。「花どら」同様に随所にセンスが光る逸品で、お店への信頼がさらに高まります。
この完成された味わいに手を加えることは邪道と思いつつ、「冷やし蕨餅」の美味しさを和パフェで味わいたいという出来心がつい生まれてしまった私。スーパーで買ったお団子に、ホイップを加え贅沢な和風パフェを作ってみました。半ば興奮気味に口に含んだその味わいは、大げさではなくまさに天にも昇る心地。単品でも美味しい蕨餅ですが、黒蜜やきな粉と共に味わう上品な甘味や独特の食感はアレンジしても健在で、その魅力がかすむことは決してありませんでした。
主張しすぎない上品な甘味や佇まいが魅力の「冷やし蕨餅・花どらセット」。控えめながらも気品溢れる逸品は、今後の私のギフトシーンに欠かせなくなりそうです。