和洋中を問わず様々なジャンルから、象徴的な逸品をご紹介する名店シリーズ。
第3弾は築地から新たな料理を発信することを命題に掲げる築地ボン・マルシェ。
市場で毎朝仕入れる新鮮な食材はもちろん、シェフ自らが全国各地を回り、生産者から
直接買い付けた厳選素材でお届けする「築地イタリアン」をぜひご賞味ください。
Item List
築地から世界に届けたい
唯一無二の「築地イタリアン」
全国各地の美味しい食材を集め
自身の料理に落とし込んで提供する
僕がかつてスーシェフを務めていたのが、トスカーナはキャンティ地方の山あいにある小さな街のイタリアン。店はいつも活気にあふれ、地元の素材を活かした料理は地域の方のみならず、遠方のお客様からも愛されていました。ここ築地ボン・マルシェでも、食材を第一に大切にしながら、身近な方へはもちろん世界に発信できる「築地料理」を提供していこうと日夜研鑽を重ねています。以前は築地市場でしたが、今は豊洲市場から毎朝新鮮な野菜や魚を。また自分でも全国各地の生産者を訪ね、目当ての食材を方々から取り寄せています。たとえば魚は高知の須崎や長崎の平戸から、エゾシカは北海道の貝塚商店さん、牛は佐賀県の中山牧場さんなど。日本の食材の旨さをイタリアンの手法で最大限引き出すオリジナルの料理をお届けすることで、みなさまに末永く愛されるお店でありたいと願っています。
日本の食文化の集積地、築地で愛される新ジャンルのイタリアン
手軽に楽しめるカレーパンなどの新商品も積極的に開発
2009年に産声を上げた築地ボン・マルシェ。イタリアンのシェフが供するれっきとしたイタリアンでありながらも、徹底して和食材にこだわる姿勢が反響を呼び、いつしか大人気店へと成長していきました。店内には世界中から集めた80種類以上のワインが並び、店頭ではオリジナルスイーツやお惣菜などを購入して帰ることもできます。店を構えるビルの1階には「デリ&バル」を設け、本店で作るフォカッチャサンドイッチやカレーパンなどの商品を販売。通りがかった方も気軽に立ち寄れるコーナーになっています。
命をあますところなくいただくために
妥協のない姿勢で食材に向き合う
築地ボン・マルシェが最も大事にしているのが、一つひとつの食材のバックグラウンド。たとえばエゾシカは、北海道は中頓別にある貝塚商店の漁師から基本的に毎回半頭ずつ仕入れていますが、その際鹿の性別・月齢は当然のことながら、どんなシチュエーションでどこを撃って仕留めたかまで子細に記した診断書も渡してもらうといいます。その情報を元に脂ののり方など予測を立て、枝肉のまま水分量を見ながら1ヶ月半ほど熟成させるのだそう。いただく命に真摯に向き合うこと。それが美味しさの追求へと繋がっていくのです。