鶏内臓モツ入りピピシュ、アフリカンチキン、ミル貝のフェイジョアーダの3個セット。肉、魚を取り混ぜた代表的な3種類で、特製缶詰の入門編としておすすめです。
近年、何かと話題を集める富ヶ谷エリア。その躍進の原動力のひとつが、予約でいっぱいのポルトガル料理店『クリスチアノ』であることは間違いありません。そのオーナーの佐藤幸二氏が開いた『マル・デ・クリスチアノ』は、魚料理に特化したポルトガル料理の店。全国の漁港を巡り切り開いた独自ルートから、毎日新鮮な魚が届けられます。
そんなポルトガル料理の旗手たる佐藤さんですが、元はイタリア料理の出身。料理専門学校を卒業してホテルに入社、その後イタリアに渡りさらなる修業を積みました。さらにフランス、イギリス、タイなどにも渡り、幅広い技術を習得。星付き店のスーシェフやホテルの総料理長なども歴任します。
しかし帰国後、以前の伝手でポルトガル料理店に入ったことで、方向性が変わりました。イギリス修業時代の同僚にポルトガル人がいたことから、ポルトガル料理自体には馴染みがあったという佐藤さん。「ヨーロッパに昔からある田舎料理」という素朴な味、魚料理や米料理が多く日本人にも親しみやすいことなどから、その魅力をさらに広めることを決意。やがて2010年、日本人に合うポルトガル料理の店『クリスチアノ』の開店に至りました。
ダイジェストの紹介でも伝わる行動力と好奇心。思い立ったことを即行動に移し、洋菓子店、タイ料理店、もんじゃ焼き店などを次々に開店します。そんな行動力の発露のひとつが、今回ご紹介する缶詰なのです。
佐藤さんのご両親の実家である秋田県では、昔から缶詰を食べる習慣があったといいます。それは市販の缶詰ではなく、山で採れたキノコなどを詰めて常備食にしたもの。その記憶があったからでしょうか。自分が理想とする缶詰が市場にないことを残念に思っていました。
「ならば自分で作ってしまおう」そんな答えに行き着くところが、また佐藤さんならではの発想。それもやるからには徹底的に突き詰める性分。こうして「ポルトガル料理の缶詰づくり」という挑戦を開始、何度もの試作を経てようやく商品化に至ります。
「缶詰は保存方法ではなく、調理法。圧力鍋と似たイメージですね」これが佐藤さんの缶詰を決定づける言葉です。塩加減や食材の配置、油との馴染ませ方。調理してから詰めて味を落ち着けるもの、生のまま詰めて缶内で加熱するもの。もちろん開けた時のインパクトを考えた詰め方も大切。さまざまな課題をクリアして生まれた数々の味。保存のためではなく、おいしさのために缶詰にする。そんな発想で生まれた、従来のイメージを覆す味わいです。さらに内容量は、どれもたっぷり100グラム。食べ応えの面でも、文句なし。缶を開けるだけで、ごちそうが完成。パーティ料理に、ワインのつまみに、多彩な場面で役立ってくれる逸品です。
そのままでもおいしい缶詰ですが、ひと手間かければさらなるごちそうに変身。佐藤さんが教えてくれたレシピは、「ミル貝のフェイジョアーダ」を使ったニンジンのサラダ。刻んだニンジン80gに塩、胡椒少々、ビネガー大さじ1、オリーブオイル大さじ1を加えて馴染ませ、缶詰1個とパクチー適量を加えて混ぜれば完成。貝の旨みとニンジンの甘み、ビネガーの酸味が一体となった驚きのおいしさです。
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- 築地の老舗鶏肉店「宮川食鳥鶏卵」の内臓モツを唐辛子入りトマトソースで煮込んだ料理。ベースを作り上げてから缶内で仕上げるため、柔らかく、味の馴染み方も絶妙です。ピリ辛の味わいで、とくにパンと好相性。
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- マリネして焼き上げた鶏肉を、ココナッツクリームベースの発酵調味料・マッサデピメンタオンに絡ませて缶詰に。事前に炭火で焼くことで香ばしさが生まれ、缶の中で最終加熱することで適度な食感が残ります。
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- たっぷりの貝の汁と香草で煮込んだポルトガル風白インゲン豆とミル貝の煮込み。貝の出汁の風味と豆の味わいが絶妙です。そのままでももちろんおいしいですが、温めてごはんと一緒に食べるのもおすすめです。
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- 天草産のタコをニンニクオイルで煮込んだ一品。柔らかいタコの食感とスパイスの風味がマッチしたおいしさです。トマト、タマネギが柔らかく溶け込んだオイルは、冷やしてサラダに、温めてパスタに絡めても抜群。
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- 旨み濃いイベリコ豚ベースに、鶏レバーを入れてさらにコクと旨みをプラス。香辛料もたっぷりで、ワインのおともに最適。脂があるので、しっかりと練ってから味わうとおいしさが広がります。
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- 岩手県産真ダラを、発酵パプリカでマリネし、缶の中でニンニクとともに煮込んで完成するポルトガル料理。しっかりと食感の残ったタラを、パプリカの旨み、甘みがいっそう引き立てます。
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- 岐阜県産稚鮎を少量のオイルとカロンジ、カルダモンなどのスパイスで仕上げた一品。あえて残した内臓の苦味がアクセントになっています。塩味が薄めなので、醤油を少し垂らして味わうのもおすすめです。