イベリコ豚の本当の味を届けるために、5年の歳月をかけて輸入を

今まで味わってきた生ハムは一体何だったのだろう。
日本にはじめてスペイン産イベリコ豚を輸出したという「タイシーコーポレーション」で最高級とされるハブーゴ村産のハモンべジョーダを味わった感想だ。
4年熟成という通常ではほとんど世に出回らない長期熟成を施したその生ハムは、深いルビー色。
ひと度、口に運べばチーズにも似たまろやかな熟成香と、深い旨みが洪水のようにやってくるのだ。
それを少し重めの赤ワインと合わせれば、まさにドンピシャ。
それだけで幸せになれるほどの、絶妙なマリアージュと長い余韻が待っている。
「そうなんです。これが本当のイベリコ豚の味。この幸せを多くの人に知ってほしくて」と代表の山本真三さんの言葉は熱を帯びる。
それもそうなのだ、山本さんがこのイベリコ豚に出会ったのは2001年。
当時はスペインと日本は食肉の輸入ができない状態であったのだ。
それを日本政府、スペイン政府との交渉の末、なんと5年の歳月をかけて実現させたのだ。
当然、イベリコ豚を語る時には、熱も帯びるのだ。

自然放牧でのんびりと暮らすイベリコ豚は、旨みを蓄え極上の味に

山本さんがイベリコ豚に出会ったのは父の影響だという。
「父が食肉卸の会社を経営しており、小さなうちから我々の兄弟に世界の食の現場を見せてくれていたんです」。
まさに2001年も父と共にドイツ、オースリア、フランスとヨーロッパを周り、最後に行き着いたのがスペインのアンダルシア地方。
「ここに世界一の生ハムがあると聞き、訪ねたんです」。
そしてポルトガルとの国境付近、ハブーゴ村の森のなかで出会ったのがイベリコ豚だ。
4万5,000ヘクタールという広大なコルクの森のなか、放牧でのびのびと暮らすイベリコ豚。
ストレス無く、極上のどんぐりを食べて育ったイベリコ豚は、成長が遅く、通常の豚の数倍の時間と手間がかけられ肥育されていたという。
自然に近い状態で育てられるイベリコ豚は、オレイン酸を多く含むどんぐりのおかげか、濃厚な赤身と芳醇な脂を併せ持つ。
味わえばナッツにも似た、香ばしさが鼻孔をくすぐり、食欲を刺激。
「この味を日本へ」直感的に浮かんだ気持ちを大切に、今なお、山本さんは本物のイベリコ豚の味を届けている。

父が愛し、自らも感動したイベリコ豚の味を守るために尽力

山本さんが父とともにイベリコ豚の輸入に携わって10年以上。
「実は2011年に先代は亡くなりましたが、現在ハブーゴの森の中に眠っているんです」。
そう、日本とスペインの架け橋として尽力した亡き父は、ハブーゴ村の人により、父が愛し情熱を傾けた、コルクの樹の下で眠っているという。
「今はイベリコ豚が生息する森の木がだんだんと減っているんです。それもなんとかしたくて」。
イベリコ豚の販売と共に、山本さんはスペインでの植樹活動にも意欲的。
売上の一部を寄付し、さらにイベリコ豚が幸せに暮らせる環境保全に尽力しているのだ。
すべては2001年、自らが感動したイベリコ豚を多くの人に届けるため。
地道な活動はこれから先も、続くという。