新潟にワインの産地を創る。そんな壮大な夢の実現に全力を傾ける

新潟市街地から西方面へ。
日本海に沿った国道402号を一本曲がると、突如なだらかな丘陵に美しいぶどう畑が広がった。
ここが今回の取材先「カーブドッチワイナリー」がある新潟ワインコーストだ。
「壮大な夢ですが、この新潟にワイン産地を創りたいんです」と取締役でありワイン製造担当の掛川史人さんは言う。
カーブドッチを中心に現在、個性豊かな5つのワイナリーが集まり、さらにはレストランや緑豊かなイングリッシュガーデン、温泉施設や宿泊施設まで揃う。敷地へ一歩入ると、そこにはフランスの銘醸地ような非日常の世界が広がっている。
さらに来年にはもう1軒ワイナリーも増える予定だという。
その旗振り役であり、先導をしてきたのが「カーブドッチワイナリー」であり、掛川さんなのだ。
「新潟といえばこれ! そんなワインが浸透すれば、夢に一歩近づきます」。
さまざまな意欲的なチャレンジをしかける掛川さん。
現在栽培のワインでもすでにそんな品種は見つけている。
そう、彼の夢はあながち夢ではないのかもしれない。

土地に根ざし、その土地の個性を引き出す、ワインを探して

「この土地だけのワインがあったら面白いですよね? そのひとつの契機になったのが白ワイン品種のアルバリーニョなんです」。
アルバリーニョはスペインの大西洋沿い、新潟に似て湿度の高いガリシア州リアス・バイシャス地方原産の白ブドウ品種。
砂地の丘陵であるこの角田山麓の土壌は、「海のワイン」とも形容されるアルバリーニョにぴったりの相性だったという。
「水はけは抜群なのですが、栄養分が乏しい。海から近いので、昼は海から、夜は陸から一年中風が吹く場所なんです、ここは」。
そんな海沿いの特殊な砂質の特性を活かし、かつ土壌のニュアンスを再現できればと選んだのが、アルバリーニョ。
残念ながら、今回まだ取扱はしていないが、掛川さんの意欲的な挑戦のひとつとして紹介させていただいた。
さらに積極的に草を生やした草生栽培や、減農薬、微生物の使用など、新たな試みと品種探しは続く。
そう、「新潟といえばあれだよね」という呼ばれる土着の品種を見つけるために。

自分の造ったワインを素直に喜べる。そんなシンプルな想いが美味を生む

そして、ようやく今回取扱の「2014 サブル」の紹介だ。
「10年やっていて、土地の良さに気づいたのは3年ぐらい前。ようやくですよ」と笑う掛川さん。
メルローとカベルネ・ソーヴィニョンを基調に、数種類のぶどうをブレンドして造る「サブル」とは、品種の個性というよりも、まさに砂地である土壌の個性を前面に出した一本。
トップは華やかで、味わいは軽やか。
飲むと畑の風景が浮かぶ酒とはまさにこんな一本なのだろう。
「砂地ならではの繊細さと透明感を感じていただけると思います。いやー、やっぱり旨い。旨いなー、これ」。
テイスティングする掛川さんは、「サブル」を絶賛する。
これほどに自分の造ったものを、喜べる人が造ったワイン。
それだけで味わってみたい、そして揺るぎない自身はこの一本が間違いないのだと確信させてくれる。