原動力は大好きな柚子と母体となる会社の従業員への想い

「母体は宮崎県で一番古い人材派遣会社なんですよ」。
『ゆず美』が誕生したきっかけを尋ねると、代表の山本美代子さんはそう笑って話す。
なぜ、「その会社がゆず商品を?」と誰しも疑問を覚えるだろう。
その理由を問えば、「実は年配になると、従業員たちの派遣先がなかなか見つからなくなることが多くなるんです。そんな人たちがいつまでも働ける環境を作りたかったのがきっかけでした」と山本さんは続けてくれた。
そんな思いで2010年に立ち上げたのが、この『ゆず美』。
そして、山本さんが「自分にできることは?」と自問した時、思いついたのが大好きな柚子を使った商品の開発だったという。
それが「愛しい柚子」など、今の『ゆず美』を支える主力商品誕生に繋がった。
しかし、発売から5年間の売れ行きは泣かず飛ばず。
はじめはフェニックス・リゾート・シーガイヤ、県の物産館などしか販路はなかったものの、地元和食店などが使いはじめ、東京のアンテナショップでも取り扱うようになると、口コミで徐々に知名度を上げていったという。

完全無添加の製法、瓶詰めもひとつずつ丁寧に、愛情を込めて手作業で行われる

もちろん、『ゆず美』の商品に注目が集まるようになったのも厳選した食材、添加物を加えない手作りによる安全性、そして何より確かな味があったからこそでもある。
「愛しい柚子」に使われるのは、宮崎県東米良産、尾八重地区で栽培された無農薬の柚子だ。
そこに沖縄県産の海塩、宮崎県産の唐辛子を加え、隠し味として米麹が加えられる。
当然、化学調味料などは不使用で、食材は地元産を中心とした国産の天然もの。
ただ、そんな商品が実際に作られる工房にお邪魔すると、そこは家庭のキッチンを少し大きくしただけの作業場。
柚子の皮をプロセッサーに加え、調味料とともにピューレ状にしていく最中の工房には、機械らしい機械はほとんどない。
無添加がゆえ、瓶詰する際も空気が入らぬよう、手作業でゆっくりと確実に詰め込んでいくのである。
まさに、すべての商品が完全手作り。実にシンプルで素朴。しかし、これが「愛しい柚子」の美味しさに繋がっているのだ。

九州有数の柚子の産地。その自然と生産者への愛情と感謝の気持ちが結晶となった

そんな柚子の故郷は、宮崎市の北西、西都市の山深くにある。
そこは東米良地区といって、九州山脈の懐に抱かれた、宮崎県きっての柚子の産地だ。
柚子の栽培には、降水量が多く、空気の流れができる急斜面が適しているといわれており、さらに、山間部ゆえの朝晩の寒暖差があるため、ここでは果実感に溢れ、何より香り高い柚子が育つ。
しかも、『ゆず美』の商品に使われるのは、農薬や化学肥料に頼らず育った東米良の柚子だけだ。
山本さんも「この東米良の自然と柚子、そして生産者さんに出会えたことが何より大きかったですね」と『ゆず美』の立ち上げ当初のことを振り返る。
3年間、試行錯誤を繰り返し、ようやく辿り着いた『ゆず美』の味。
その味を支えているのは、紛れもなく山本さんの柚子に対しての愛情なのではないだろうか。