畑を持たないからこそ、土地に縛られず、自由なワインがイメージできた

「ワイナリーなのに、畑を持っていないのが強みですかね」。
禅問答のようなお話からインタビューが始まったのは、ワインの製造から卸までを扱う「ワインライフ」のオーナー夫妻・杉本隆英さんと美代子さん。
元々はお互いにITのプログラマーと薬剤師、まったく別の仕事に就いていた。
この業種に興味を持ったのは50を過ぎてからだというから驚きだ。
「カリフォルニアのナパ・ヴァレーで飲んだロバート・モンダヴィに感動しまして、こんなにするすると飲めるおいしいワインがあるんだと」。
それはまるで燦々と降り注ぐカリフォルニアの太陽そのままの味だったという。
それからカリフォルニアワインに興味を持ち、なんとファンクラブを立ち上げ、ついには店まで持つことに。
「そこからはすごいスピードでワインに魅せられていきました。そうしているうちにワインが繋いでくれた仲間が増えて」。
すると今度は日本人に向けたカリフォルニアワインを造ろうという話がふたりの夢になっていったという。
それが畑を持たないワイナリー・オーナーの誕生であったという。

日本の侘び寂びを感じさせる、和食に寄り添うカリフォルニアワインが誕生

「現地で飲むと非常においしいのに、日本へ持ち帰るとそうでもない。これは合わせる食事との相性に原因があるのでは?と思ったんです」と杉本さん。
であるなら日本人の食事、とりわけ和食に合うをテーマに据え、ふたりのワイン造りは始まったという。
ワイン製作は、カリフォルニアの6つのワイナリー、『Brewer-Clifton』『Diatom』『Tako』『Palmina』『Transcendence』『The Wine Foundry』に依頼。
そうして出来上がったのが、「Ch.igai Takaha.」だ。ラベルには、オーナー自身の家紋である『丸に違い鷹の羽紋』をモチーフに、名は、アルファベットにしたCh.igai Takahaのi の点を左下に落としドットとして使い、それぞれのワインに付けられたサブネームは、家族の名前から由来。
どれも既存のワイナリーには存在しない、オリジナルワインが出来上がった。

現在はまだ夢の途中。今後もプレミアムなワインが続々と登場予定

気がつけばカジュアルからプレミアムまで3つのカテゴリーにランク分けされ、食事のシーンに合わせて選べるようになった「Ch.igai Takaha.」のラインナップ。
漫画「神の雫」で紹介されるなど、評価も上々で、ふたりの夢であった和食に合わせるワインは着実にファンを獲得してきた。
そして現在では、JAL国際線ファーストクラスや高級ホテルなど、星付きレストランなど、限られたお店でオンリスト。
「なにぶん生産本数が少ないもので……」と苦笑いの杉本さん。
今後はラインナップを減らしてでも、生産数をあげる計画もあるという。
だが、それはまだまだ計画段階、ふたりの夢は現在進行中であり、今後も、ワインが結ぶ縁で、さまざまに形を変えていくのだから。