常に前を向き、日本酒の未来を変えていく、老舗の挑戦

「日本酒を好きで飲んでいる人は、人口1億2700万人の中の8%程度。今後加速的に、アルコールの国内需要が減少していく中、日本酒を取り巻く環境は衰退の一途をたどっています。変革は、必要不可欠」。
これは西山酒造場6代目・西山周三さんの言葉である。
兵庫県のほぼ中央、緑豊かな里山が広がる丹波市で160年以上に亘り、日本酒を造り続けているのが「西山酒造場」。
6代目である西山さんのこの危機感こそが、革新的なアイテムを続々とリリースする老舗の今だ。
まずは新しいモノ作り。
なんと酒蔵であるが、子供からお年寄りまでがターゲット。
これは酒造りや米の発酵技術のノウハウを活かし甘酒ヨーグルトや、甘麹などを生み出した。
さらに女性と海外へ目を向ける。
現在、9人いる蔵人のうち6人が女性であり、残りの男性の中にはアジア人がちらほら。
現在、24カ国へ輸出を行い、急激な海外需要の高まりに対応している。
そう、日本酒を媒介に新たなモノ作りに目を向ける。
この丹波を革新的なモノが生まれる場所にしたいと西山さんは考えているのだ。

ついつい手に取りたくなるデザインもまた、さまざまな要素の積み重ね

西山酒造場の酒「小鼓(こつづみ)」はとにかくフォトジェニックだ。
それは芸術家・無?庵 綿貫宏介氏の独特の世界観で作りあげられたラベルデザインによるところが大きいのだが、決してそれだけではない。
女性の意見を大切に、日本酒=重い酒というイメージを払拭。
約2ヶ月で製造、仕上げ、出荷までを行うフレッシュローテーションで鮮度にこだわったフレッシュな酒を造り上げ、日本酒が持つイメージを一新。
さらにボトルの色や形状にもこだわり唯一無二の酒を目指している。デザイン、味、想い、それらすべてがひとつになり西山酒造場の酒になるというわけだ。
今回、取扱の「小鼓 路上有花 葵」は、モンドセレクション最高金賞、International Taste&Quality Institute優秀味覚3ツ星受賞、ワイングラスでおいしい日本酒アワード最高金賞など、世界の著名なコンテストで多くの賞を受賞している。
その世界観は今やインターナショナル、世界のグルマンに評価されているのだ。

守るものと変えるもの、その両輪が革新的なアイテムの根幹に

革新的なモノ作りを続ける「西山酒造場」にあって、大切にするもののひとつに“変わらないモノ”がある。
例えば水。
酒にはすべて、竹田川の伏流水である、蔵内の井戸水「椿寿天泉」を使用。
これは漫画美味しんぼにも登場し、「口に含んだ時のふくよかな旨みが、いったん飲みこむと驚くほど早くスッキリと消える、実にいさぎよい味だ。」と紹介された。
この超軟水で、乳幼児にも安心して飲ませられる、清く澄んだ水が、酒造りの根幹を支えている。
さらには地元・丹波への想い。美しい山々に囲まれた、この丹波でしかできないモノを常に目指しているのだ。
そのひとつが酒米だろう。兵庫県の名産である、山田錦の他に、特産品である兵庫北錦、但馬強力を積極的に取り入れる。
一般的には知名度が低く、扱いが難しい米なのだが、丹波で生み出す酒には欠かせないという。
長年の歴史の上でこそ行える革新。
この伝統と変革の連続こそが老舗の酒造りを支えているのだ。