高岡の老舗とブランドマネージャー・鶴本さんによる新ブランド

高岡に創業して約60年になるダイカスト(金型鋳造法)のメーカーとして知られる「ナガエ」と、これまで「真空チタンカップ」など、様々なヒット商品をブランディングし、世の中に送り出してきた鶴本晶子さん。
その2つの大きな個性が手を取り合い、2015年に新たに生まれたブランドがこの「ナガエプリュス」だ。
そのきっかけを紐解けば、ニューヨークの展示会で知り合ったこと。
「互いのことを知るほどに、描いている物作りに対しての思い、方向性など、共有している部分が数多くあることを知っていったんです」と鶴本さんは話す。
日本の市場だけに留まらない、海外へのグローバルな展開、自社だけの単一素材、単一技術だけに頼らないプラットフォームブランドの確立…。
どちらかが歩み寄るわけではない。「ナガエプリュス」は、ごく自然に、生まれるべくして生まれたのだった。

高岡の伝統的な美に様々な要素が溶け合った、新たな魅力

もちろん、そんなブランドの中にも大きな核となる部分がある。
鶴本さんが「派手すぎず、地味すぎない」と表現する、茶道具の文化や仏教美術といった、高岡の伝統的な“美”の部分がそれだ。
そこに、日本各地の伝統的な素材や技術、さらにはデザイン、サステナブルといったいくつもの要素を取り込み、現在とこれからのライフスタイルに寄り添う製品を世界へと発信していくことが、「ナガエプリュス」のコンセプトとなっている。
「SHIKI COLORS」の錫の酒器を例にしてみよう。
高台は鍾乳洞をイメージしたデザインで、「ナガエ」の職人がひとつひとつ砂型鋳造したものだ。
本来、色づけが不可能といわれていた錫であるが、ここには、京都の天然の染料と東京の下町工場の技術、さらには医療器具にも採用される最先端のガラスコーティングの技術が落とし込まれているという。

形に囚われない、無限の可能性を秘めたブランドの未来

「RATIO」という錫の皿も、これほど使い手の想像力をかき立てる商品はない。
表面は越前和紙、裏面はイタリアの水彩紙テクスチャーを落とし込んだデザインで、和洋どちらの料理に寄り添うことができる。
錫という柔らかな素材の特性をいかし、平らにしたり、あえて起伏をつけたり、あるいは皿角だけ少し持ち上げてみたり。
形も自由に変えていくことができるというから面白いアイテムだ。
それは「ナガエプリュス」というブランドそのものを表しているかのようでもある。
元々ある伝統にさまざまな要素を組み合わせ、お互いの魅力を高め合う。
決して、伝統だけ先端技術だけに囚われていたら表現できない美しさ。
美を軸として、多様な要素を柔軟に取り込み商品化する「ナガエプリュス」。
このブランドが秘める無限の可能性にこれから目が離せそうにない。