自分が作りたいモノ、それこそがオリジナリティ溢れるグラスの原点

「売れるものを作ろうとするなよ」、現社長の木村武史さんはモノ作りの心構えをそう説く。
自分が作りたいモノ、嘘のないモノを、とことん研ぎ澄ました先にできるのが木村硝子店の商品。
「それがないと響かない。類似品が多い中で、見た瞬間、触った瞬間に、これと思ってもらえるものじゃないとね」。
木村さんは頭の中にまず画像が浮かび、手書きの図面を書くという。
取材時、過去に自らが引いた図面を見せてもらったが、その緻密さに驚いた。
時に頭に浮かんだグラスを図面に再現できず、2年の月日を要したこともある。
「線を探し出す作業。何を話しているかわからないかもしれませんが、僕なりのイメージを具現化する。人には同じ線でも自分ではまったく違うんです。それでようやく図面ができてもサンプルが全然違ったり、理想の形を再現するのに苦労するんです」。
そう木村さんは10年単位、いやそれ以上で愛されるグラスを目指している。
それが木村硝子店のグラスなのだ。

一流の飲食店がこぞって買い求める、触れば分かるグラスを自宅に

触った瞬間にその驚異的な薄さであったり、ワイングラスのステムの細さであったり、一度はその心地いい触感を感じたことがある人は多い。
そう、木村硝子店の名前は知らずとも、同社のアイテムは長く一流の飲食店に愛されてきた。
工場を持たないガラス器メーカーとして、1910年に創業。手掛けているのはプロフェッショナル向けの製品であり、現在では約1700もの製品を取り揃えている。だからこそ、木村さんの話す通り、扱う製品は常に本質を追求してきたのだ。
「今までお客様のほとんどは全国の飲食店であり、店舗とネットの販売を除き、一般向けにはほとんど販売されていなかったんです」。
それが今回、オンワード・マルシェに出店。
「好きなグラスのある生活。その本質を知ってもらえれば嬉しいですね」と木村さんは静かに笑った。

いつもの食卓に華を添える名脇役こそが、木村硝子店のグラスたち

伝統的なワイングラスの形をベースに、食やワインのプロの意見を取り入れたオリジナルのワイングラス「ピーボ」は、日本でのフレンチやイタリアンに合わせたサイズ感を表現。
これを生み出してくれるのはスロバキアの熟練のマイスターたち。
極限まで薄さを追求した「コンパクトタンブラー」は飲み物を直接持っているかのような不思議な感覚と口当たりを楽しませてくれる。
そうなのだ、それぞれのグラスが、その用途とシーンを想定しながら生み出されている。
だから決して主役にはならずともさまざまなシーンで華を添える。
そんな名バイプレーヤーこそが木村硝子店のグラスたちなのだ。