取材史上・最長移動、高知の南西端で出会った極上の宗田節

いやー、遠い。これほど日本が広いと実感した取材もなかなか無い。
ここは高知県の西南部、土佐清水港。高知県の玄関口・高知龍馬空港からでも車で約3時間、香川県高松市から彼の地へ向かった我々には、途方もない移動時間が待っていた。
さらに取材時はまさかの悪天候。降りしきる雨の中、いそいそと現場へ向かった我々を出迎えてくれたのは、「ウェルカム ジョン万カンパニー」の代表・田中慎太郎さんの笑顔であった。
「いやー、こんな遠いところまでようこそ。雨でしたから、大変でしたね」。
悪天候で約束時間に遅れてしまった我々。そんな柔和な笑顔に救われ、取材準備を進めていると、気がつけば雨も上がり、雲の合間から光が差し込んでいた。
目の前には土佐清水港。キラキラときらめく水面が、この地の豊かさと厳しさを物言わず、静かに教えてくれたようなのだ。
そして、土佐清水港で生み出される宗太鰹を使った鰹節こそが、田中さんがひとりでも多くの人に届けたいと、全力を注ぎ込む逸品だ。

何もない町が、実は豊かであることに気づき、その魅力を発信

「鉄道もない、高速道路もない。本当に若い頃は、何もない、ど田舎と思っていたんです。いや、もちろんその通りなのですが、これが貴重な環境だということに気がついたのは本当に最近ですね」と田中さん。
手つかずの自然がたくさん残る大好きな故郷を、かけがえのないものと気づいた時に、土佐清水の魅力を発信できればと動き出したのが、若き町おこしのグループ。
今や人気みやげとなった「だしが良くでる宗太節」の始まりだという。
「港近くの惣菜屋さんが自作の出汁醤油を作っていて、それがめちゃくちゃ旨い。聞けば、宗太節と醤油を漬けただけという。これだと思いましたね」。
そんな秘話を元に生み出されたのが「だしが良くでる宗太節」。
名産の宗太節が入ったかわいいボトルに、醤油を詰め込むだけで、なんと数日置けば、ナチュラルな出汁醤油ができるというアイデイア商品だ。

大切に生み出された宗田節は、削りかすまで余すところ無く商品に

昔から地元では“香りカツオに、味ソウダ”とも言われていた、宗太節。
黒潮の恵みから宗太節の原魚・メジカの水揚げ日本一を誇る港こそが、土佐清水港なのだ。
「鰹節に比べ、まだまだ全国的に知名度の低い特産品ですが、一本一本丁寧に手作りで生み出されるその味は、まさに土佐清水の豊かさの象徴のような味。
それを多くの人に知ってもらえれば」と田中さん。
今なお漁師が一尾一尾釣り上げるひき縄漁は、魚群ごと一網打尽に引き上げる巻き縄漁に比べ、海を守れる優れた漁法だという。
そうして丁寧に釣り上げた小さなメジカを鮮度を保ちながら港へ。
すぐさま競りにかけられたメジカは、工房である節納屋に運ばれ、熟練の職人により茹で、バラし、燻しと昔ながらの行程で、旨みを増幅させながらその姿を変えていくという。
そんな大切に生み出される宗田節。
「ビンに入れる際の整形で、カットしたり削った部分もパウダーやおかきなどに加工して、しっかり商品に。だって旨いですからね」と笑顔の田中さん、この人、本当に宗田節が好きであり、土佐清水を愛しているのだ。