「捨ててしまう野菜をどうにかしたい」。そんな農家からの相談が商品に

元来、店主である椋木章夫(むくのきあきお)さんはアイデアマンなのだ。
色とりどりの並ぶ美しい瓶を見て、最初それが何なのかわからなかった。
「ちょっと傷が入っていたり、大きさが規格外だったりした野菜なんですよ」とサラリと教えてくれるが、それを瓶に詰めただけでこれほどに美しくなるかと目を疑うばかりだ。
元々は東京でTVの制作会社に務めていたという椋木さん。
地元に貢献できれば、さらには萩の農業をどうにかしたいという思いで、「地域の野菜を萩野菜」とブランド化し卸を行う、個人事業を立ち上げる。
そうこうするうちに契約農家は増え、野菜を生産する農家から、商品にできないクズ野菜もどうにかできないかと相談を受けたことが、現在のピクルス販売につながっていくのだ。
「形の悪い野菜も切れば一緒。味はうまいんですから」。
店舗兼工房は、使われていなかった野菜の無人販売所を自らがDIYしたものだという。
価値のつかなかったもの、使い手のいなかった場所に目をつけ、それをアイデアひとつで価値をつけていくのだ。
いや、その何倍にも付加価値をつけて、喜ばれる商品へと転化しているのだ。

アイデアひとつ、手間ひまひとつで野菜に付加価値をつけることに成功

椋木さんがピクルスを作り、販売する上でひとつだけ決めていることがある。
それは農家さんの言い値で野菜は買う。
「それでも大分安いのですが、規格外で売れない野菜も農家さんのそれまでの労力は同じですからね。少しでも底支えできればと思っています」。
一番人気のミニトマトは、手間ひまを惜しまず、湯剥きする。
この作業一つで抜群に食感が代わり、どんどん食べたくなる。
使う酢のブレンドも果実酢を使ってみたり、はちみつを隠し味に使うなど、素材ごとにアレンジを加えている。
さらに瓶に詰める野菜の並びもそう。
言い値で買う分、少し高くなる野菜も、見た目を宝石のように輝かせデザインで工夫することにより、価格を補っているのだ。
冒頭、アイデアマンといった真意はそこにある。
たかがピクルス、されどピクルス。
椋木さんの手にかかったピクルスは、発想ひとつで喜ばれるギフト、誰かにあげたくなるギフトとして、今、注文が殺到している。

2016年のグッドデザイン賞を受賞。進化はまだまだ止まらない

商品も、店も、味付けも、ホームページも、パッケージデザインもすべて自らが行ったという「萩野菜ピクルス」。
なんと2016年のグッドデザイン賞を受賞したというから驚きだ。
商品のデザインもさることながら、規格外の野菜を利用したというアイデア、さらには地元の農家を支えたいという思いこそが、選考委員の心を動かしたという。
「驚きましたし、嬉しいですね。これからますます頑張らないとですね」と椋木さん。
常時5本を用意する季節のおまかせピクルスは、季節季節の野菜をアレンジし、日々進化している。
今日より明日、今年より来年。
萩の野菜を使ったアイデアマンのピクルスは、日々進化中。今後さらなるアイデアで「あっ」と言わせる商品が登場するのを一ファンとして心待ちにしたい。