温故知新の考えで、昔ながらの地酒を守り続ける若き蔵元

実直???。
創業1772年、安永年間よりこの地で地酒を造り続ける『後藤康太郎酒造店』の若き蔵元・後藤隆暢さんを形容するならばそんな言葉がしっくりくる。
「いや~、古臭いだけなんですが、今あるものを壊したくない。ずっとご先祖様が造り上げてきた酒ですからね」。
現在、世間ではにわかに日本酒ブームが巻き起こり、ワインでいうテロワールという考え方や、純米酒にこだわるなど、次世代の若き蔵元や杜氏が注目を浴びている。
そんなさまざまな動きがある中で、後藤さんは流行りを追わない。
かと言って、昔ながらの造りを真似ているだけではない。
「毎年、自分では工夫して、実は気づかれないように変えているんです」。
この地で長く愛される味を、さらに末永く愛してもらう酒に。
後藤さんの壮大な夢は、まだ始まったばかりだという。

現在でも9割以上が地元の山形で消費されている、まさに隠れた逸品

『後藤康太郎酒造店』の酒はまさに地酒だ。
それは数字でも如実に現れている。
なんとこれだけ流通が発達した現在も、県内でほぼ9割が消費されているのだ。
それも純米大吟醸の要件は満たしているにも関わらず、純米吟醸として販売するなど、常に消費者の目線を考えてきた。
「この地で愛され、この地の人のためにです」と笑う後藤さん。
この人は根っからの高畠人であり、真面目なのだ。全量自家製米で原料処理から丁寧に酒造り。
小さな蔵ながら最新鋭の精米機を導入するなど、一貫して高品質の追求しているのだが、そんな酒はまさに解る人に解るという。
派手さはないが、じんわりと沁み入る味わい。
まさに後藤さんの人柄が、如実に酒に現れているのだ。

200年以上に亘り愛されてきたお酒の中から、さらに特別な限定品が登場

長く地元で愛される『羽陽錦爛』シリーズより、今回は定番の大吟醸のほか、大吟醸と純米大吟醸の限定品である袋採り無濾過原酒を出品。
「大吟醸でも他社の酒に比べると吟醸香は控えめですので、食中酒としても楽しんでいただけると思います」と後藤さん。
さらに2種類の限定品は、袋を吊して自然にしたたり落ちる酒の雫を集めた逸品。
時間をかけて圧力をかけずに搾った酒は、まさに華やかな香りと繊細な味わいを併せ持つ、極上の一杯に仕上がった。
「いや~、多くの人にどう評価してもらえるのか、正直こわいですね。ずっと山形県のみで愛されてきたような酒ですから」。
そう話す後藤さんだが、200年以上に亘り愛されてきたお酒。
その真摯で実直な味わいは、多くの日本酒ファンの心に刺さると確信している。