名門ホテル生まれのオリジナルマカロンとは?

1987年に開業した「ホテル西洋銀座」。
多くの著名なパティシエを輩出し、日本のパティスリー業界を牽引しましたが、2013年に、惜しまれながらその歴史に幕を下ろしました。
しかし、その菓子は、「パティスリー西洋銀座」というブランドに継承され、今も変わらずファンに愛されています。
その中でも、一番人気の品と言えるのが、「銀座マカロン」。
ホテル4代目シェフパティシエを務めた浦野義也氏が、伝統の味を受け継ぎ、ロングセラーとなっている看板商品です。
今でこそ、誰もが知るほど有名になったフランスの伝統菓子“マカロン”も、ホテル創業当時の日本では、まだ知る人ぞ知る存在でした。
そんな時代に、気鋭の職人によって始められたマカロンだけあって、実際に作っているところを拝見すると、非常に繊細で、高い技術を必要とする配合や混ぜ方であることに、驚かされます。

変えないことで守られる伝統の味

マカロンの生地の食感を作るうえで重要なのが、卵白と砂糖を泡立てて作るメレンゲです。
最近では、泡立ちがより安定しやすい製法を取ることが多いのですが、この「銀座マカロン」は、砂糖をそのまま少しずつ加えるという古典的な製法。
しかも砂糖自体の量がかなり少ないため、安定しづらい配合です。
気泡をある程度つぶして、きめを揃える「マカロナージュ」という工程も、最近の多くのマカロンと比べると回数が少なく、生地の状態を五感で感じ取る職人の感覚に頼っています。
ホテルがクローズする時、ずっと使っていた年季物のオーブンを、苦心しながら何とか運び出し、現在の「パティスリー西洋銀座」の厨房に移設したそうです。
パティシエにとって、オーブンとは、微妙な温度調整や癖を知り尽くした長年の相棒。
このマカロンも、同じそのオーブンでなくては、変わらない味を出すことができなかったのです。

“銀座”の名がふさわしい大人向けマカロン

2枚のマカロン生地でサンドするのは、コクのあるアングレーズソースをべースとした、濃厚なバタークリーム。
卵黄入りのため、つややかな淡い黄色も印象的です。ヨーロッパのバターでは一般的な“発酵バター”を使っており、上品で芳醇な香りが楽しめるのも、他にない特徴。
通常、“発酵バター”は焼き菓子に使われることが多いのですが、「ホテル西洋銀座」は伝統的に、発酵バターを生菓子のクリームにも使用していました。
口に入れると、やわらかくすっと口どける心地よさ。
さらに、ラム酒に漬け込んだレーズンの風味がしみ渡っているのは、挟んでから少しまろやかなコクの中からふわりと広がる香りに、思わずうっとりとしてしまいます。
カラフルで可愛らしいマカロンとは一味違った、大人の街・銀座の手土産として選ばれてきたエレガントな「銀座マカロン」。
目上の方への御礼や、大切なおもてなしといった、ここぞという時の特別なスイーツとしておすすめです。