まず心を掴むのは、ふみこ社長の温かい人柄

「ようこそ、遠いところから」そんな言葉とともに『ふみこ農園』の名物社長・成戸文子さんがやってきた。
登場しただけで、部屋は花が咲いたように明るくなる。
屈託ない笑顔に、知らず こちらも笑顔になる。
気づけば誰もが文子社長に惹かれ、信頼を寄せていることだろう。
そして確信するのだ。この人が作るものなら間違いない、と。
いまから30数年前、和歌山の小さな製麺所に嫁いできた文子さん。
「朝5時から軽トラで町中の麺屋を回って、帰ってくるのは夜中2時」と少し懐かしそうに語る。
しかしある日、地元名産の梅を麺に練り込んでみると、これがたちまち評判に。
それから紀州梅を使った梅干し、有田みかんのコンポートやジャムなど地元産品の加工を少しずつ増やし、やがて平成8年に『ふみこ農園』創業にいたる。
現在ではなんと自社製品300アイテム以上。
しかし商品数が増えても、できるだけ地元産品を使って、まじめに、丁寧にという初志は、変わらずに守られている。
――この人が作るものなら間違いない。その直感は実に正しい。

自宅のキッチンで生まれたアイデアが試行錯誤を経て商品に

展開される無数の加工品。そのすべては、文子社長の自宅の台所から生まれる。
実は社長は調理師免許も持つプロフェッショナル。
和歌山の豊富な食材を前にすると無限に湧いてくるというアイデアを、次々と形にしていくのだ。
もちろん、常に大成功というわけではない。
「梅グラッセなんて何回失敗したか。1tタンク全部ダメにしちゃったこともあるんだから」それでも決して立ち止まらず、諦めない。
その継続がやがて結果につながる。
件の梅グラッセなど、現在は豪華客船の売店で屈指の人気を誇るほどだ。
その他の多彩な商品についても、やり方は同じ。
試作品を作り、修正を繰り返し、ブラッシュアップを重ねる。
そんな途方もない作業のモチベーションを聞けば「誰かに喜んでもらうのが好きなのよ」とシンプルな応え。
この一言に、文子社長と『ふみこ農園』の魅力が凝縮されているのだ。
いまでも自ら仕込んだ漬物や惣菜を社員に配ることもしばしば。
「私は社長の器じゃない。ただみんなに美味しいって言ってもらいたいだけ」なんて謙遜するが、そのハートこそ何よりも得難い社長の器であろう。

素材を大切に、安心を忘れずに。それが守り続ける理念

展開する多彩な商品、すべては素材ありき。それがこちらのモットーだ。
故に、たとえばみかんのコンポートに寄せられる賞賛にも「みかんが美味しくしてくれているだけ」なんて声が返ってくる。
それだけに、素材選びには一切妥協を許さない。
先のコンポートなら、11月末から12月の糖度が上がったものだけ。
若桃は5月の半ばのほんの10日間、果肉が育ち種が育ちきらないという状態のものだけを集める。
そして忘れない安全への配慮。
「自分の孫に食べさせられないものを、お客さんに売れませんもの」そんな思いから無添加にこだわり、家族みんながいくらでも食べられる食品を提供する。
キャッチコピーは「優しさと安心を食卓へ」。
確かに優しさも、安心感も、ここ『ふみこ農園』の商品にはあふれるほど詰まっている。