子供が喜ぶ顔をみるために生まれた、お袋の味が評判に

「食の細い子でねぇ~。ご飯そっちのけで、いつも遊ぶのが先。本当に食べるのが苦手な子だったんやけど、おじゃこをまぶしてあげるとごはんを何杯もお替わりする。それが始まりなんですよ」。

遠い目でそう語ってくれたのは手造りじゃこ山椒が好評の「たけのうち」の味を守る竹内明子さん。そんな家庭での母としての思いが詰まったじゃこ煮は、着色料や保存料などは一切使わず、安心・安全がたっぷり詰まった逸品。

「だって自分の子供に食べさすもんやから当然でしょ」。

さらに実山椒を加えたじゃこ山椒やひとくち鰯などをラインナップに加え販売すると、瞬く間に評判となり人気店に。

「でもね、商品として販売するとなると大変でね。味が決まらず、何度もほかした(捨てた)こともあります」。

そうした試行錯誤を重ね、今、たけのうちのじゃこ山椒は京都の母の味として多くの支持を集めている。

産地を訪ね素材を厳選。 行き着いたのは小さなじゃこと大きな実山椒

納得がいく味を求めた竹内さんのじゃこ山椒はいつしか、全国各地の産地を訪ね歩くことになり、じゃこや山椒など、素材選びへとつながっていく。

「行き着いたのは鹿児島の志布志で捕れた白すじゃこや、徳島で捕れる小ぶりのじゃこ。逆に実山椒は大粒が特徴の和歌山」。

そんな小さなじゃこを出汁と炊いて3倍にも膨らましたものを再びゆっくりと煮詰めていくことでほぼ元の大きさに戻す。

そうしてふっくら炊きあがったじゃこができあがると、そこへ大きな実山椒を加えさっと混ぜるのがたけのうち流。

こうすることでじゃこは柔らかく、実山椒の香りは鮮烈な印象に。

味わうたびにごはんが欲しくなるじゃこ山椒は、そんな小さなこだわりのたっぷり詰まった結晶でもある。

とことんこだわった母の味は、いつしかさまざまな人気商品に

「旨みがしっかり染みこんだじゃこは小さければ小さいほど口当たりもやさしいのでおいしいと思います。でも、小さなじゃこは鮮度は敏感になるし、扱いが大変になるので普通のじゃこ屋は嫌がるんですよ」と明子さん。

すべては味のため。そうした手間暇を惜しまないこだわりは、さまざま商品に転化。

じゃこ山椒に宇治の抹茶をたっぷり絡めた抹茶味は、白湯を注ぐだけで、お茶漬けに。

さらに絶妙な炊き加減のひとくち鰯は、日本海の荒波で育った平子鰯を厳選。

その小さな身に旨味をたっぷりと蓄え酒の肴としても好評だ。

それらすべての商品は、子供が喜ぶ顔を想像して明子さんが生み出してきたもの。

そう、いつでも根源は母が息子を思う心なのだ。