日本国内でも他に類をみない、三石和甕を使用した屋外醸造

初めて目にするその光景に誰もが目を丸くするだろう。
およそ250個の三石和甕。
それらすべてが、半分ほどの高さまで地中に埋もれた状態で整然と並んでいるのである。
しかも、酵食品であるお酢は、その製造工程で微生物や菌などの働きが重要になるがゆえ、温度管理のしやすい屋内で醸造されるが、和甕が設置されているのは何と屋外。
これこそ、昭和5年の創業より続く「大山食品」の作るお酢の伝統製法なのだ。
創業時より引き継がれる種酢を入れ、さらに米、麹、水を加えて、攪拌させることなく巨大甕のなかでじっくりと発酵させていくお酢。
巨大甕を使うことで甕内の対流がおだやかになり、静置発酵法による熟成感も相まって、しっかりとした濃い旨みが引き出しつつも、角のないまろやかな味わいのお酢に仕上がるのである。

5円玉の緑青で発酵状態を確認するなど、職人の経験がものをいう仕込み

80年以上続く歴史の中で、この三石和甕を使ってお酢造りを行うようになったのも実は昭和48年からのこと。
それまで「大山食品」も他の醸造場と同様、小さな甕を使ってお酢を発酵させていたという。
巨大甕を使うきっかけとなったのは、よりよい水を求め、同じ県内の国富町から現在の綾町へ移転したことだった。
当時は県内の焼酎蔵の多くが、甕仕込みからタンク仕込みへとシフトしていった時代で、三石和甕を使った醸造も、焼酎造りに使われていた甕を譲り受けて始まったもの。
そして、試験的に作ってみると、自分たちが求める理想の風味や味わいに近づいていったのだという。
以来、「大山食品」ではこの三石和甕による仕込みが伝統となった。
また、この三石和甕とともに「大山食品」ならではのこだわりが、三石和甕に被せられた紙に置く5円玉で、お酢の発酵状態を確認する管理法。
五円玉に吹き出た緑青の具合を見て、職人が中の発酵状態を確かめるのだという。

有機農業が盛んな綾町ならではのオーガニックな黒酢

お酢造りにおいて「大山食品」がこだわってきたのは、何も手間暇かけた昔ながらの製造方法だけではない。
例えば、「綾の有機黒玄米酢プレミアム」は、とりわけ厳選された原料を使ってお酢造りが行われている。
通常、お酢を発酵させていくには白麹が使われることが多いが、これには白麹の原種とされる黒麹を使用。
さらに、麹米や仕込み米には、地元で栽培された有機JAS認定の玄米を使っている点も有機農業が盛んな綾町ならではだ。
仕込み水や割り水は当然、名水百選にも選定される綾町の清冽な伏流水。
こだわりの原料が作り上げる、天然の有機酸とアミノ酸を豊富に含んだオーガニックな黒酢。
まろやかな酸味や有機玄米の豊かなコクと香り、何より滋味深いその味わいを一度試せば、クセになること請け合いだ。