家族4人で手作りするジャム。果物の栽培から製造までを手作業で行う

工房と言うよりも「キッチンを少し広くした」という表現のほうがしっくりくる。
大分県は宇佐市赤尾地区の田園地帯にポツリと建つ一軒家。
自宅の一部を改装し、保存料や添加物はもとよりペクチンも加えない、手作りジャムを製造しているのが高橋さん一家だ。
ここでジャムが手作りされるようになったのは、ご主人・保さんが眼病を患い、目によいとされるブルーベリーを栽培し始めたのがきっかけ。
初めは自分たちが収穫したブルーベリーをパック詰めにして地元のスーパーで販売していたが、やがて自家製ジャムも製造・販売するように。
当時、対面販売では「甘すぎる!」などと言われたこともあったというが、添加物や保存料も使わない、果物、砂糖、柚子果汁だけで作られる、安心・安全のジャムは口コミで徐々に人気を集めていくことになった。

コンセプトは小さな子供でも安心して食べられる、無添加のジャム

安心、安全をモットーにしたジャム作りにおいて、「Happy Farm」が第一にこだわっているのが食材だ。
ジャムはイチゴやカボス、ユズ、デコチャンなどの全8種があり、それらに使う果物は地元・宇佐産を中心とした大分県産でまかなっている。
さらに、ジャム作りの発端となったブルーベリーやイチジクの一部においては、工房の裏庭で自家栽培するというこだわりよう。
また、砂糖はくどさや灰汁っぽさが出てしまう上白糖ではなく、北海道産のビートグラニュー糖を使うことで、すっきりとした仕上がりにした。
市販のジャムの糖度が50度ほどあるのに対し、「Happy Farm」のジャムの糖度は38~40度に抑えていることからも、素材本来の味わい、香り、風味を大切にしていることがよく分かる。
防腐剤代わりにゆず果汁を使っていることも特筆すべき点だろう。

レシピはあってないようなもの。食材の状態で見極める経験が頼りに

そんなこだわりの食材で作られるジャムだが、しっかりと美味しさも追求している。
例えば、その作り方。ジャムそれぞれにレシピはあるものの、砂糖の量も、火にかける時間も正確には決まっていない。
食材の熟し加減、鍋にかけた時の水分量を見極め、さらに火にかけながらもヘラにかかる重み、ヘラから落ちるジャムのとろみ加減を見て、微調整するのが「Happy Farm」のジャム作りの鉄則。
味にばらつきが出ぬよう計器を使ってしっかりと糖度も測定しているという。その上で、「Happy Farm」ならではの特徴として打ち出しているのが、素材感と果肉感だ。
鍋でじっくりと炊いていく際も果肉をつぶさないよう、へらを入れる角度や方向、回すスピードにも気を遣い、丹念に火にかけていくのだ。
食材も製造方法もシンプルなジャム。
しかし、だからこそ作り手のこだわりが如実に表れるのも事実。
安心・安全、そして味わいにこだわった紛れもない逸品だ。