全国でも圧倒的なシェアを誇る金沢の金箔

金の沢。その名の通り、かつて川底から砂金が採れたといわれる金沢。
さらに水と気候に恵まれたこの地には、古くから発展してきた文化がある。
それが和紙だ。金と上質な和紙、そして古都としての風格。
この地に金箔文化が根付くことは、いわば当然の帰結だったのかもしれない。
全国の金箔シェア99%、まさに金箔の町と呼べる金沢。
しかし従来、金箔の一般向け使用用途は、仏壇が中心。
いかに優れた金箔があろうとも、それが直接生活に触れる機会は少なかった。
そんな折、ひとりの女性が京都から金沢へ嫁いできた。
「箔一」の創業者でもある浅野邦子現会長。
わずか40年で「箔一」の名を全国に知らしめ、トップブランドに押し上げた人物。
いやそれだけではない。今でこそ金沢名産の代名詞となった金沢箔工芸品。
その文化自体を創造してみせた人物なのだ。

伝統の職人技を、さまざまな工芸品に取り入れる

金箔の厚みは、わずか1万分の1ミリ。
十円玉の半分の金が、畳一枚以上のサイズになりながら、金の持つ輝きは微塵も失われない。
400年の歴史が育んだ伝統の技である。完成までの工程は多々あるが、基本となるのはやはり叩くこと。
上質な和紙を挟み、状態を見極め、均一になるよう調整し、熱を持ったら休ませ、叩くこと10万回以上。
卓越した職人技と、気の遠くなるような作業だけがなし得る素晴らしき文化である。
しかし「箔一」の凄みは、その技術にさらなる発想を合わせることにある。
「伝統技術を大切にしながら、できる限り多くの方に金箔にふれて頂きたい」とは同社営業部・道宗伸行さんが語る会社の理想。
建築や工芸品だけでない異業種とのコラボレーションを進める、あるいは食品や化粧品に利用する。
打ち出す斬新なアイデアが、まだ知られざる金箔の魅力を、次々と教えてくれるのだ。

オンリーワンの新技術も次々に開発

たとえば人気の”古代箔”は、金箔に熱を加えることで外周部からグラデーション状に色が変化したもの。
箔一枚ずつにデザイン性がある。
あるいはあえて木目を活かした木皿に、砕いた箔を貼り付ける”おぼろ月”、合わせガラスの内部に金糸や銀糸を挟み込み綺羅びやかな模様を映し出す”こもれび”。
どれも他では真似することのできないオンリーワンの技術が込められている。
かたや伝統を守りながら、絶えず進められる新技術の開発。
その両立こそが、ここ「箔一」の何よりの強みなのだろう。
心奪う輝きの金。それはただ飾るだけではなく、実際に使用されることで、いっそう魅力を増す。
金のある毎日。その華やかさは、生活のなかに輝かしい彩りを添えてくれることだろう。