みつばちが一生懸命集めた大切な自然の恵みをおすそ分けしてもらうはちみつ

「みつばちって扱う人の性格が分かるんですよ?。巣箱ごとに性格も違いますし、人間と同じくとってもデリケートなんです」。そう話しながら養蜂部の坂本貴浩さんは、やさしく丁寧に巣箱を扱う。巣箱の正面には決して立たず、みつばちを落ち着かせ、子育ての部屋、働きばちの部屋とそれぞれに病気はないかくまなくチェックする。それはみつばち一匹一匹におだやかに繊細に話しかけるように。石川県金沢市郊外の自然豊かな山沿い。はちみつメーカーとして80年以上の歴史を誇る『みつばちの詩工房』の養蜂場はある。中国チベットで無農薬の菜の花から生み出されるはちみつやローヤルゼリー、日本各地の養蜂家から品質にこだわり厳選する「日本のはちみつ」シリーズなど、数多くのはちみつ関連製品で人気を誇る同社。なかでも特に希少価値が高いのが、この自社の養蜂場で生み出される「かなざわのはちみつ 百花」だ。

山花が咲き誇る金沢の自然が育んだはちみつが"百花"

「みつばちたちが四方の山から一生懸命集めてくれた、大切なはちみつを分けてもらうそんな気持ちなんです」。そう言って作業する坂本さん。遠心分離機から流れ落ちる黄金色のハチミツ。これこそ紛れも無い自然がくれた、金沢の恵みだ。採取したばかりのはちみつをその場で味わう。様々な花の香りが鼻孔をくすぐった後、やさしい自然な甘みが口に広がる。それでいて頭はすっきり覚醒する。「面白いのが時期によって味が違うことなんです。それは周囲にどんな花が咲いているかに左右されるから。今はまだフレッシュな味わいが多いかな」。夏を前に、次第に完熟な果実を想わせる濃厚さが増してくるという。百の花を集めて作るから"百花"。そこには金沢の豊かな自然への感謝が込められている。

80余年守り紡がれた、はちみつへの想いが、ピュアな甘みを生む

昭和5年、先々代である初代・山岸松太郎が、石川県金沢の山村で、知り合いになったお寺からみつばちを1群分けてもらったことで同社の歩みは始まる。もともと凝り性で研究熱心だったこともあり、徐々に群数を増やし独自の養蜂技術を開発。戦後、砂糖など甘味の手に入りづらい時代には、天然の甘味料としても、栄養源としても脚光を浴びるようになり、徐々に同社のはちみつは売れるようになったという。「みつばちが与えてくれる恵みに、極力手を加えない。自然の風味と栄養を大切に」。先々代から守り続けられるはちみつへのこだわりは、時代を経た今なお、色褪せず同社で大切に育まれ、紡がれてきた。天然産物であるはちみつは、何より自然環境が大切。変わることのないはちみつへの想いが、こだわりの逸品を生む。